■【コラム】ISOで規格化されたシックスシグマ■
ついにISOがシックスシグマを国際規格化
品質マネジメント規格ISO9000シリーズなどを規定するISO(国際標準化機構)は、2011年9月に「シックスシグマ」を経営改善手法の国際規格の一つとして正式に採用することを発表し、ISO13053規格書として制定、公示しました。
- ISO13053 プロセス改善における定量的方法 ― シックスシグマ―
- ISO13053-1 第1部 DMAIC手法
- ISO13053-2 第2部 ツールや技法
もともと企業内改革活動であったシックスシグマは近年、中国、韓国、シンガポールなどで国策として推進されるほどメジャーかつ汎用化が進んでいます。しかし日本国内においては導入企業数が限られ、啓蒙も不足しており、広くは認知されていないのが実情です。
中国が主導するグローバルスタンダード
なぜISOは、改善手法の国際規格としてTQCでもトヨタ生産方式でもなく、シックスシグマを選んだのでしょうか?
その背景には、ISOにおける規格化推進委員会TC69/SC7の議長国が中国であり、新たなグローバルスタンダード制定に強い意欲を見せていることが挙げられます。
今や世界の工場を自認する中国は、半世紀前の日本が歩んできた経緯と同じように「品質二流国」の汚名をすすぐための国策として、あらゆる改善活動に取り組んでいます。
その中でも比較的新しい改善手法であるシックスシグマは、欧米企業が日本のQC活動を手本にして、体系化した汎用的かつ実務的な手法として世界中に広まっています。
またシックスシグマの考え方、ツールなどには国際的なビジネス共通言語として理解すべき内容が多く含まれており、完全習得にはそれなりの訓練を要します。中国はそこに狙いを定め、自らゲームルールを確立することによって、国際的な競争優位性を高められると考えているのです。
すでに中国ではシックスシグマの国家認定試験を行っており、中国国内に生産拠点をもつ企業に対して、「中国認定ブラックベルト」の採用あるいは認定取得要請を行っています。
今後の国際規格の適用動向にも注意が必要
ISOでは今後も国際規格の内容の充実をめざし、引き続き検討を継続することを規格書の中で明記しています。
リーンシックスシグマ(LSS/リーンシックスシグマ)やDFSS(Design for Six Sigma)などの各種バリエーション、あるいはブラックベルトの認定制度など、将来的には採用企業がおこなうべきルール化に言及する可能性があります。
これに対して、日本企業の多くはシックスシグマが従前のQC活動となんら変わりないものという思い込みもあり、対応が後手に回っているといわざるをえません。
しかしながら、すでにシックスシグマが定着しているグローバル企業を中心に、取引先にシックスシグマ導入を求める動きが活発化しています。
このような状況を踏まえ、この機会にあらためてシックスシグマの導入・活用の検討をなさることをお勧めします。
【参考情報】JBpress掲載「品質立国の幻影」より
品質でも中国に抜かれる寸前となった日本
世界標準化も蚊帳の外に~品質立国の幻影(1)